不眠症が及ぼす影響―睡眠負債

不眠症が及ぼす影響―睡眠負債

睡眠負債は睡眠以外で返済できない

 

睡眠不足が重なると心身にどういう影響があるかを考えるとき、睡眠医学では「睡眠負債」という考え方をします。

 

これは私たちが「睡眠不足がたまる」と言っていることとよく似ています。

 

睡眠不足がたまると、脳はその不足を取り戻そうといろいろな場面で「眠気」をもよおして睡眠を誘います。

 

睡眠負債が大きくなればなるほど、それを返済させようとする圧力が高まり、脳はさかんに「眠れ」という指令を出すようになります。

 

授業中や会社での居眠り、電車でのうたた寝などは、夜寝る以外の場面で睡眠負債を返済する行為です。

 

睡眠負債の特徴は「眠る以外の方法で返済することはできない」ということです。

 

気合を入れたり、手の甲をつねってみたりしても、一時的に眠気を遠ざけるだけですぐにまた「借金取り」が現れます。

 

睡眠負債は一括返済できない

 

睡眠負債のもうひとつの特徴は、毎日の睡眠不足を週末にたっぷり寝ることで解消するとか、徹夜をしても翌日たっぷり寝たらOKとは言いきれないことです。

 

これは確かに睡眠負債を減らす効果はありますが、睡眠は約24時間の体内時計のリズムに合わせてとることが求められているので、まとめて返して帳尻を合わすということができないのです。

 

徹夜をした後にいつもの倍眠ろうとしてもそうはいきません。

 

いつもよりいくらか長く眠れたとしてもやがて目が覚めて、寝不足の感じが数日間続くというのがふつうです。

 

少しずつ返済するには

 

睡眠負債は少しずつ返して、体内時計が正しいリズムで働くように修正していかなければなりません。

 

毎日少しずつのうたた寝や昼寝は睡眠負債の返済にはたいへん効果的です。

 

人には24時間+αの周期の睡眠リズムがあります。この「α」は30分くらいとも1時間くらいともいわれています。

 

この周期は「概日リズム」といわれています。「概日」はおおよそ24時間という意味です。

 

実際の1日の時間とαの誤差は毎朝太陽の光をあびることでリセットされます。

 

現代人の生活は人工照明の発達などで自然のリズムを軽視することが多くなって、睡眠負債をためることも増えています。

 

睡眠負債はたんに睡眠時間のトータルの帳尻を合わせということではなく、「リズムを取り戻せ」という脳の指令でもあります。

 

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