睡眠薬の歴史(1)
このページでは人類と睡眠薬の歴史について取り上げます。
古代は植物の成分を利用
古代エジプトやギリシャでは「ケシの花」つまりアヘンを鎮痛剤、睡眠薬として使用していました。
古代ギリシャ、古代ローマでは「マンドレイク」という鎮痛効果のある薬草をワインと混ぜて飲み、睡眠補助としていました。
「マンドレイク」は別名を「こいなす」といい、聖書の創世記30章には受胎効果がある植物として言及があります。
ヒヨスという植物は向精神作用があり、睡眠薬として用いられたこともあったようで、16世紀のエリザベス一世の時代の文献に記録があります。
日本ではクワンソウというユリ科の植物が九州南部から沖縄に自生しており、鎮静、快眠効果があることから「眠り草」として知られていました。
昔の人々は睡眠効果がある薬草を知っており、それらを睡眠薬として使っていたことがわかります。今の医学では摂取がかなり危険と思われる植物もありました。
洋の東西を問わず、特にアルコールに弱い体質の人が多い日本では「アルコール」が睡眠導入剤として使われてきたのも事実です。
生成された初期の睡眠薬
化学的に生成された睡眠薬の登場は19世紀半ばにドイツの科学者が「抱水クロラール」を開発したのが始まります。
これは治療域と有毒域の範囲が狭い、つまり摂取量を少し超えただけで呼吸麻痺を起こし死に至る劇薬でした。
さらにアルコールと共に摂取すると効果が増大し、ますます危険度が増す薬です。
ほかにも「ブロムワレリル尿素」も開発されましたが、大量摂取で死に至ることがあるため、後述の「バルビツール酸系」の登場とともに使われなくなっていきました。
バルビツール酸系の登場
1903年に合成された「バルビツール酸系睡眠薬」は1920年代から50年代にかけて唯一の鎮静剤、睡眠薬として人気を博しました。
しかしバルビツール酸系睡眠薬は耐性、依存性が付きやすく、大量投与で呼吸中枢を抑制し死に至ることもあることから「睡眠薬は危険である」という印象が社会に広まりました。
実際に多くの著名人が睡眠薬で自殺をしているという事実もあります。
次のページでは、バルビツール酸系睡眠薬以降、現在までの睡眠薬についてご紹介します。
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